Lignification
solutions

木を活かし、未来をつくる

「木質化によるソリューション」

木質化による次世代建設

脱炭素・環境改善、社員満足度の向上、ブランド価値の強化。
谷原建設は木質化を通じて、企業の空間価値を高め、サステナブルな未来をともに描きます。内装から外装、家具、空間デザインまで木質化をトータルでコーディネートします。

脱炭素社会に向けて。
木材が拓く新しい建築の姿。

国内林業の再生と環境の改善

国内の木材利用を促進することで、林業の経済循環が生まれると同時に、長年問題になっている花粉の影響による国内生産力低下の改善につながります。

木造建築はコンクリート・鉄骨に比べてCO₂排出量を大幅に削減できる

木造建築では 床面積あたり年間216 kgCO₂eの削減、69%の削減効果があるとの推定があります。

バイオベース素材の使用で建築物の環境負荷を低減

バイオベース建築素材の導入により、建物の「ライフサイクル埋蔵エネルギー(embodied energy)」を 最大20%削減できるとされます。

CLT(直交集成板)の利点

CLTは再生可能でサステナブルな素材であり、CO₂を吸収・蓄積する特性に加え、工場でのプレファブ化により廃棄物削減や施工効率の向上にも貢献します。

木が、人を、企業を豊かにする。

木質空間での集中力・注意力・生産性の向上

木質インテリアの部屋では非木質部屋に比べて、注意力・生産性が向上し、認知テストでも良好なパフォーマンスが報告されています。

ストレス軽減と生理的効果

UBCとFPInnovationsの研究では、木の表面がある空間にいると心拍数や皮膚電気反応が低くなり、明らかにストレスが軽減することが示されています。

職場満足度と木の割合の相関

デスクから見える天然木表面の割合が低い(20%未満)職場では、勤務満足度や生産性・集中力・気分が低下する傾向がある一方、多く見える職場ではそれらが向上したと報告されています。

アレルギーや空気質改善にも寄与

木質インテリアは、ホルムアルデヒドなど揮発性有機化合物の放出を抑え、音響的にも安定しており、アレルギー症状の軽減や総合的な満足感に寄与することが確認されています。

空間が変わると、人も変わる。

AIによる木質のイメージのバーチャルになります。画像の真ん中のバーを移動していただくと、一般的建設と木質化にした場合の違いをご体験いただけます。リフォームのビフォーアフターではございません。一般的建築と木質化の建築の違いの疑似体験になります。

Exterior

木でつくる、中大規模構造。

CLT(直交集成板)は、厚い木のパネルそのものが「壁・床・屋根」として建物を支える、新しい木造建築の考え方です。従来の木造住宅のイメージを超え、オフィス、学校、福祉施設、集合住宅など、中規模以上の建築にも対応できる木質構造が現実になっています。

CLTとは?

(Cross Laminated Timber=直交集成板)

CLTは、厚さ約30mm程度の板材(ラミナ)を何層にも重ね、層ごとに木目の方向を直交させて大型のパネル状に圧着した木質材料です。

この積層の仕方によって、1枚のパネルで「面としての強さ」を持たせることができ、建物の壁・床・屋根といった主要構造そのものに使うことができます。

CLTは1990年代半ばにオーストリアを中心に発展し、日本でも2010年ごろから本格的な検討・設計が進みました。2013年にはJAS規格が整備され、2016年には建築基準法関連の告示が施行され、構造材料として正式に扱われるようになりました。いまは製材・集成材・LVLなどと同じように、構造計算に組み込める材料になっています。

国内ではスギ・ヒノキ・カラマツなど国産材を用いたCLTが各地の工場で量産されており、地域の樹種や必要強度に応じて使い分ける取り組みが進んでいます。

※愛媛県 CLT 普及協議発行「CLT 建築物の設計ガイドブック」より

鉄骨やRCだけじゃない。

「木で支える」という第三の選択肢。

構造性能

CLTは“分厚い木のパネル=面”として使うのが最大の特徴です。壁として使えば、地震や風などの横方向の力(水平力)に抵抗できるだけでなく、柱のように上からの重さ(鉛直荷重)も受け持つことができます。床として使えば梁型の出っ張りをなくし、フラットな天井面をつくることも可能です。

つまり、「柱と梁の位置で間取りが縛られる」という在来木造/鉄骨あるあるから解放され、自由な平面計画やスキップフロアなどにも対応しやすくなります。

5階建てや3階建てのCLT建物を実物スケールで振動台に載せ、阪神・淡路大震災の記録波より大きな地震動を加える実験が行われています。この実験では倒壊しないことが確認され、変形量や損傷の出方が検証されています。

画像:愛媛県 CLT 普及協議発行「CLT 建築物の設計ガイドブック」より

防耐火性能

火災時、CLTのような厚い木材は表面が炭化して断熱層をつくり、内部にはゆっくりしか火が進みません。実験では、厚さ90mmのCLT壁が1時間以上燃え抜けないことが確認されています。

この性質を前提に、あらかじめ「燃えて失われる厚さ(燃えしろ)」を見込んだ断面を設計しておくことで、火災時でも一定時間、建物が倒壊しないように計画できます。これを「燃えしろ設計」と呼びます。

建築基準法上は、CLTを壁・床・屋根・柱・梁として使いながら、準耐火構造/耐火構造の要求性能に適合させることが可能です。3階建て以下の共同住宅、学校、事務所、保育施設などを準耐火建築物として計画する場合、CLTの表面をそのまま現し(見せる)にすることも、条件次第で認められています。

一方で、用途や規模によっては内装制限(不燃・準不燃の仕上げなど)がかかるケースもあるため、外側を石膏ボード等で被覆する仕様や、燃えしろ厚さをどれだけ確保するか、といったディテール設計が重要になります。

画像:愛媛県 CLT 普及協議発行「CLT 建築物の設計ガイドブック」より

防耐火構造の仕様の一例

防火構造 外壁

(一社)日本CLT協会が国土交通大臣認定取得した仕様

H12建設省告示第1359号

準耐火構造 外壁(45分) ・間仕切壁(45分) ・床(45分) ・屋根(30分) H12建設省告示第1358号

[燃えしろ設計をする場合]
□燃えしろ45㎜
( 水性高分子イソシアネート系樹脂接着剤で製造したCLTの場合)
□燃えしろ35㎜
( レゾルシノール・フェノール樹脂接着剤で製造したCLTの場合)

[防火被覆をする場合]
・外壁屋外側被覆材
□軽量セメントモルタル厚20㎜以上
・外壁室内側被覆材・間仕切壁被覆材
□せっこうボード厚15㎜以上
□せっこうボード厚12㎜+9㎜以上重ね張り(順不同)

[燃えしろ設計をする場合]
□燃えしろ45㎜
(水性高分子イソシアネート系樹脂接着剤で製造したCLTの場合)
【屋根30㎜】

□燃えしろ35㎜
(レゾルシノール・フェノール樹脂接着剤で製造したCLTの場合)
【屋根25㎜】

[防火被覆をする場合]
・床上面被覆材 【屋根下面被覆材】
□木材総厚30㎜ □強化せっこうボード厚12.5㎜以上
・床下面被覆材
□強化せっこうボード厚15㎜以上
□強化せっこうボード厚12.5㎜以上
(グラスウール(かさ比重0.24以上)厚50㎜以上等充填)

画像:愛媛県 CLT 普及協議発行「CLT 建築物の設計ガイドブック」より

様々な木質耐火部材の種類

木質耐火部材には、燃え止まり型・木ハイブリッド・メンブレン型など、様々な大臣認可を受けた構造構法があります。

計画に合わせて選べる3つの基本構成

① CLTパネル工法

CLTを「壁パネル」として使い、水平力と鉛直力の両方を負担させる方法です。無開口の壁パネルを並べる小幅パネル架構と、大きな開口部を含めた大判パネル架構があり、用途・プランに応じて設計を使い分けます。CLTパネル工法としての技術基準は国土交通省の告示(平28国交告第611号)で整理されています。

② 軸組工法+CLTパネル

従来の木造軸組(柱・梁)にCLTを組み合わせる方法です。たとえば、CLTを床版として使って水平力に抵抗させたり、耐力壁として組み込んだりできます。従来の木造と同じ計算ルートを使えるケースもあり、従来技術からの延長で導入しやすいアプローチです。

③ 混構造(RC・S造+CLT)

1階や下層をRC造や鉄骨造にして、上層階をCLTでつくる。あるいはその逆で、下層をCLT、上層を鉄骨などとする上下混構造も可能です。さらに、同一フロアの一部にRC/一部にCLTといったハイブリッドも検討可能ですが、その場合は高度な構造設計が必要になります。

画像:愛媛県 CLT 普及協議発行「CLT 建築物の設計ガイドブック」より

CLTを使った住棟イメージ

各層の外壁・床・屋根に厚さ150mm~210mmクラスのCLTパネルを用い、廊下や居室の仕切りも木質のまま現しで計画した集合住宅の断面例です。外壁や軒裏には準耐火1時間の仕様を満たすための仕上げ構成(ガラス塗装、石膏ボード、サイディング等)を組み合わせ、安全性と木質の意匠性を両立させています。

画像:愛媛県 CLT 普及協議発行「CLT 建築物の設計ガイドブック」より